モコモコ博士の建物観察ゼミ
2013.12.12

第38回「南青山内田ビル」

いい建物ってどんな建物なんだろう。私にとっての「いい建物」とは、建築の設計を生業としてきた40年ほどの経験則の尺度からはみ出している建物のような気がする。意外性といってもいいかも。この意外性を持つ建物でなければ、ここに紹介する意味はないと思う。ビッグ・ネームの建築家たちの作品の多くはこの意外性を主張している。全くの愚作もないわけではなく、それらはここにはご紹介していない。無名に近い人であってもいいモノはいいのであってここにご紹介したいのであるが、概して調べてみると著名な方の作品だったりする。

ダイナミックな構成が目を引く

南青山内田ビル
外観はコンクリートの打ち放しと御影石。

今回ご紹介する「南青山内田ビル」は何となく私の好奇心を刺激した建物である。このビルの前を歩くとき、チョイとやりすぎで品格に欠けるかなと思いつつも調べてみたくなった建物である。

南青山内田ビル
上部には増築の跡も。
南青山内田ビル
大胆な鉄骨使い。

コンクリートの打ち放しと御影石、カーテン・ウォールなどで立面を構成している。正面ファサードの打ち放しコンクリート壁の大きな開口を大胆にH型鋼が繋いでいる。内部空間を囲んでいる曲面の壁には御影石の大判タイルが貼り付けられ、閉塞された内部空間を厳守しているようにも見える。そう、大胆で図太いデザインなのだ。それぞれの素材がそれぞれに猛々しいのだ。この重量感を路上にこぼし得るのは表参道の街だからこそ可能なんだろうと私は思っている。こんなデザインを平然と行ったのはどんな人なのか知りたいと思った。

南青山内田ビル
西の隣地境界側立面。
南青山内田ビル
大胆な鉄骨中心部の繊細なディテール。



南青山内田ビルを設計したのは・・

名前を戸尾任宏(とお ただひろ)と言う、ビッグな建築家である。坂倉準三建築研究所に在籍した経歴を持つ。パリに3年ほど在住し、その間、フランス、スペインのロマネスク建築を調査研究されたりもした方である。新日本建築家協会・関東甲信越支部長の要職にもあった。既にお亡くなりになっている方ではあるが、「戸尾任宏・建築研究所アーキビジョン」の名前で、数多くの博物館や民俗文化財収蔵庫、ミュージアムを日本各地に設計されている。代表作に、遺作となった「東大寺総合文化センター」がある。

南青山内田ビル
東側、半透明なガラスの入るカーテンウォール。


この「南青山内田ビル」は港区南青山5-4-46にあり、主要用途はオフィスと個人住宅らしい。竣工は1988年9月のようで、既に築25年ではあるが、打ち放しコンクリートの撥水材などは十分機能しているのでメンテナンスはしっかりしているように推測できる。建物の細部を見ると、なかなかにディテールにも凝っていて、外部階段などのデザインは秀逸である。

南青山内田ビル
円筒の外壁にそった外部階段。
南青山内田ビル
階段のディテールも秀逸。
南青山内田ビル
御影の張り方が丁寧で美しい。
南青山内田ビル
拘りのディテールを感じます。

これは「いい建物」である。戸尾任宏という建築家がどんな人であったのか、全く知るところではないが、少なくともこの建物には、彼の作為を感じるに足る主張がある。建築家の個性を出せる設計の仕事に巡り会うのも建築家の実力だと思っている。そのチャンスに出会ったときに十分に自己を主張していいのだ。自分の信じるいい建物の尺度で設計すべきである。建て主の意見や周囲の環境を無視してもいいとは言ってない。それら与条件を取り入れ消化、吸収して自分なりに料理すべきだ。この「南青山内田ビル」はそんなことを教えてくれる意外性を持つ建物である。なんだか強烈なのよね〜、ファサードが。

 

ビー) 表参道付近で花見と言えば・・・?
カー) うーん、あそこどこだったっけな〜
ビー) 毎年多くの花見をする人が訪れる所だよね。
カー) そうそう、ただ名前が思い出せないな〜
ビー) ほら、駅名にもついている原宿の隣の駅の・・
カー) あ!渋谷だ!
ビー) そうそうって、逆行っちゃった!
カー) 違うのか〜、うっかりど忘れしちゃったみたい。
ビー) じゃあ、大ヒント!よ◯ぎ公園。
カー) よもぎ公園だ!
ビー) ありそうだけど違うよ!
カー) う〜ん、思い出せない。。。ちょっと頭をリラックスさせるために桜を見に代々木公園いってくるね。
ビー) ・・・・・・・そこっ!!!
 
 
 
参考になるリンク先
戸尾任宏(Wikipedia)

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