モコモコ博士の建物観察ゼミ
2022.11.08

第2回 日本看護協会ビル

建築家 黒川紀章さん

黒川紀章さんが、2007年10月12日、心不全のため亡くなった。 73歳だったそうだ。最近は、都知事選や参議院選に出馬し、世の注目を浴びた。理解に苦しむような言動も多く、妙な人だとの評も多く聞かれ たが、建築家としては、かなり立派な人ではあった。
若い頃には大阪でのExpo’70にタカラ・ビューティリオン他の建物を発表され、私を含めて当時の若き建築学徒にかなりの刺激を与えた。建築の理論運動・メタボリズムを背景に、新橋に中銀カプセルタワーや自邸別荘など矢継ぎ早に現実の物とした。「共生」と言う言葉も使い始めたのは 彼であったように思う。

日本看護協会ビルを設計

そんな黒川さんが設計した建物が表参道にもある。並木の歩道を歩いていると、ふーっと空間が広がる場所がある。そのまま視線も空間に向く。日本看護協会ビルだ。

日本看護協会ビル
うわー!天井高っ

表参道の並木道では、わずかにここだけである。メチャクチャに高い土地代の場所に、あそこまで建物をセットバックし、意図的に地上階を大きく解放した設計であり、からっぽの空間を持ってくることは、経済効果を考えると普通できることではない。

1階の一番いい場所に2階への階段を置き、見上げれば、なんと、向こうに大きな空が見える。ここに黒川さんの強烈な反骨精神を見ることができる。

日本看護協会ビル
正面階段を上ったところから見る並木道

お¥儲けよりも、何も置かない空間を優先した計画は、凄い。ただ ただ凄い事だ。商業主義に負けない建築家としての反骨であり、黒川紀章だからできた計画である。何もない空間に彼の思想が充満している。

むかしは、、、

昔ここにあった日本看護協会の建物は、暗く重苦しく、協会の看板だけが目立つような、表参道の並木道に相応しいとは思えない印象だった。黒川さんのビルでは、1、2階、階段の両サイドを店舗とすることにより、原宿のショッピングストリートの連続性を維持し、町並みに大きく貢献し、表参道のコミュニティーと共生するようになった。日本看護協会ビルの完成によって看護協会の活動がより発展し又、表参道の発展にも役立っている。

クリスタルコーン??

オーナーである日本看護協会の出入り口は、ガラス張りの円錐形のタワー、クリスタル・コーンと呼ぶ人もいる所にある。

青山スパイラルビル
右側の円錐形が入口

ドアーを開けて入ると左手に看護協会の受付、手前には地下の多目的ホールに向かう螺旋階段がある。見上げると天井がないクリスタル・コーンの内部が見え、面白い骨組みがみえる。

日本看護協会ビル
見上げると、、、

受付までなら、入ったところで誰にも叱られないので、是非行ってみよう。3階のJNAプラザでは無料で各種の企画展もやっているので受付のおネーちゃんに聞いてみよう。先日(10月いっぱい)までは、私はチョット遠慮しちゃいましたけど、「乳ガン特別企画展」をやってました。


ベルコモンズも!!

竣工したのは、2004年ですから、3年前で未だ新しいビルですね。構造は鉄筋コンクリート、鉄骨、鉄骨鉄筋コンクリートの複合の構造です。主要用途は事務所・店舗・集会所で地下2階。地上8階建て。カーテン・ウォールと呼ばれる、外壁に構造上の力が掛からない造りになってます。建ってる場所は、表参道ヒルズの向かいです。

建物の真ん中に大きな階段がありますので、すぐに判ります。建物に向かって右側に日本看護協会の名前の入ったコンクリートの壁があり、クリスタル・コーンの入り口があります。ついでながら、表参道界隈で彼の設計したものは、南青山3丁目交差点のベルコモンズがあります。

反骨精神万歳!!
階段上ったカフェでは見晴らしが良いです。YAHHO~
 
 
 
 

次回予告:
次は、表参道の金魚鉢、ヘルツォーク&ド・ムーロン設計のプラダビルです。免震構造の建物で地面から浮いているような構造になってます。建物の中に入ってみると柱が1本もない建物で、デザインもさることながら構造的にも面白いビルではあります。

たぬプロフィール

たぬスタンプ

  • キャラクター・スタッフ紹介
  • ももんずさんどうぃっち

ページの先頭へ