第1回 青山スパイラルビル
世界的にチョー有名なビルがこの青山スパイラルビル。気品の良さでは天下一品。博士が気になるブラジャー屋さんのワコールが、文化事業の拠点として使ってます。表参道での待ち合わせは、地下鉄・表参道 B-1 出口前のスパイラル2階、がオシャレっす。
スパイラルは、世界的にチョー有名なビル!
この「スパイラル」ビルは、実は、世界的にチョー有名なビルです。米国の大学院で建築を勉強している学生で、この建物を知らない人はいない、ほどのものです。表参道界隈では最も注目すべき格調高いビルなんですね。
ブラジャーなんかの下着メーカーのワコールが文化事業の拠点として使ってます。
無論誰でも気軽に入れるビルで、1階には、大きな喫茶・軽食のお店、それに沿って美術展が頻繁に行われるギャラリーがあり、奥に大きな吹き抜け空間、そこにビルの名前になったスパイラル(らせん)の通路があり、美術展などを鳥瞰するように、2階の雑貨のお店に自然に誘うようになってます。
道路側の広い廊下と階段部分がいい。実はここは3階にある劇場のホワイエとして使われるのですが、普段は通路ギャラリーとして使われます。ここの青山通りを見渡せる2階のホールにはイタリアの建築家・マリオボッタが設計したスチールとゴムでできたグレーの椅子が並べられて、いつでも誰かが座ってます。
何故か一人の方が多く、やたらに落ち着いちゃって、眼下の人の流れを静かに楽しんでます。無料で開放されてますので「地下鉄・表参道 B-1 出口前のスパイラル2階、ボッタの椅子に座って待ってる」との約束は、表参道交差点・みずほ銀行前よりもかなりオシャレな待ち合わせ場所だと思いますね。雨にも濡れないし、エアコン聞いてるし、静かで座れるもん。
スパイラルを設計したのも、世界的にチョー有名な人!
設計したのは、世界的にチョー有名な槇文彦という人。1928年生まれだからもうかなりのおジーちゃんとも言える人ですが、凄い人なんです。定番の東京大学を卒業し、米国の建築の学校では最高峰とも言える、知る人ぞ知るの、大学院しかないクランブルック・アカデミー・オブ・アートとハーバード大学の両方で修士課程を修了している生粋のエリートっす。
米国の中西部セントルイスにある、同じく建築の学校では著名なワシントン大学での助教授、東大の教授の経歴もある人です。現在は建築の設計事務所である「槇総合計画事務所」の代表で世界を相手に、品格の高い作品を残していますね。最近のモノで我々の目に多く触れるのは、六本木ヒルズのテレビ朝日新社屋ですかね。
因みに、代官山をメジャーにした低層の「代官山ヒルサイドテラス」もこの槇文彦っす。テレビなどのメディアでは見たことのない人ですね。参考までに、ニューヨークの9.11の現場に建設が予定されている超高層ビルの設計者は、この槇文彦です。因みに、標的になった旧ワールド・トレード・センター・ビルの設計者は、日系アメリカ人のミノル・ヤマサキでした。
モコモコ博士のこだわりポイント 外壁に最大の特徴あり!
このスパイラル・ビルは、1985年竣工の築後22年でこのあたりでは古い方の部類に入ってしまいますが、ビルは未だ新築のごとく美しい。無論頻繁なメンテナンスに寄るところは大きいのですが、特徴の一つは外壁で、他では見られない5ミリ厚のアルミの無垢材を使っているんです。5ミリというのは、異常に厚いんです。通常は1,2ミリほどの凸凹したアルミ・スパンドレルなどが使われますが、このビルは5ミリ無垢単板のアルミ素地なんですよ。
建築の設計屋さんは「すげーなー、オレも一度でいいから、こんな材料使ってみてーよ」の羨望の外壁材です。普通は使いません。厚手の素地のモノは経年変化しにくく、いつまで経っても美しいのです。女性を相手にするブラジャー屋さんのビルには相応しい外壁材ではあります。今度、外壁をトイレをノックするように叩いてみてください。「おー、すげーな」と思えるアナタは、それだけでこのビルの虜になります。
主要構造(柱と梁のこと)はSRC造といって、鉄骨を鉄筋コンクリートで囲んだものです。仕上げ材ですべて隠れていますが、頑丈な作りではあります。
このビルだけを見に行ってもいい、価値ある建物です。「建築家? アタシ槇文彦が好き」なんてのたまう女性はそれだけで素敵です。