
第43回 ミュウミュウ 青山店
あのプラダ青山店を手がけたヘルツォーク&ド・ムーロンが参画。
建築のデザインを決定する過程で当初から思うのは、構造上の柱と梁の大まかな構成だ。多くの日本人設計者がそうだと思う。そのために大胆な形態のデザインが生まれにくい。今回はそんな日本人設計者からは生まれにくい建築をご紹介したい。
紹介するのは「ミュウミュウ 青山店」の新店舗だ。イタリアのファッション・ブランドとしての東京の旗艦店である。
店舗を示す看板はなく、これが店舗名を示す唯一のロゴです。
一見しただけでは建築には見えないような気がします。
柱と梁の躯体構造の呪縛から解放されたような構成で特異な印象を放つ外観である。みゆき通りの街並に異色な雰囲気を創りだしている。
設計したのは日本の竹中工務店だが、デザイン・コンサルタントとして建築家集団、ヘルツォーク&ド・ムーロンが参画している。
道路を挟んで建つ「プラダブティック 青山店」の基本設計も手がけたスイスの建築家集団である。
“宝石箱”をイメージした作り。単純明快な四面構成で、妙な装飾は一切無い。
外壁はステンレス・スティール製で光りや周囲の色を控えめに反射させている。
宝石箱をイメージして計画されたとの事で、出入り口の軒部分は箱板の一部を斜めに下の方から開けかけているような造形で、ビルの出入り口前の軒空間を楽しく創りだしている。雨の日の傘を窄めたり開いたりの利便性も抜かりなく考えられている。
店舗入り口と軒下です。
外壁のステンレス板と雨水受けのディテール。
ビルの裏側も表と同じ角度をもった外壁の板が立てかけられて、大きな紙の箱のような全体像を醸している。単純明快な四面で構成され、妙な装飾の一切無いイクステリア(外観デザイン)は、内部の商品を引き立たせる効果をも生み、中に入ってみようか、との思いを抱かせる。みゆき通りに直交する小路との角地に建っているが、小路側の一部、人の腰の高さ部分のみ鏡面に磨かれ歩行者の姿を反射させている。
建物の真裏、この壁にそって雨水が流れます。
ステンレス板の一部が鏡面に仕上げられています。
雨樋代わりのレイン・チェーン。美しいファサードへの拘りは必見。
この建物には樋がない。屋上部分にも通常は外壁を立ち上げてのパラペット(雨水が外壁を伝って流れない工夫の立ち上がり)がない。雨水は屋上の小さな勾配で裏側に流れ、外壁を伝うるようになっている。正面の軒の部分だけは下方に雨受けのアングル版( L 字型の断面を持つ板)が取り付き、中央部分に縦樋に代わりレイン・チェーンを伝って地上に流されるような工夫が見て取れる。
珍しいデザインのレインチェーンです。
単にステンレスの板を立てかけただけにも見える外壁を実現させようとする設計者の細かな配慮が読み取れるのだ。正面ファサードの意匠に無粋なプラスティックなどのパイプは断固として計画したくないのが建築家であって、拘りなのだ。
日本人にはない感性。建築デザインに興味のある方、是非店内でご堪能あれ。
内部空間の写真撮影は許可されないのが通常で、今回も無理。是非ともご自身でお出かけ頂きたいのだが、2階の床や屋根を支える柱は1本もなく、壁の内側に隠されている。梁などの鉄骨の構造躯体も表に出ることなく天井裏にあって、梁形を見せるような意匠はない。感じの良い店員さんが数人いて、建築のことを訊ねると、快く小冊子を頂けるので、建築のデザインに興味のある方は、お尋ねしてみてはいかがでしょう。
実に自然な入り口がお客様を迎えています。
日本人にはない感性を持つスイスの建築家の作品の中に身を置くとどんな感じなのかご堪能あれ。私も建築のデザインなんてやってみたいと思った方はそれだけで才能有りです。年齢は関係ないのよね。
カー) イタリアのファッションブランドだよ(`・ー・´)
ビー) あ、そうか。
カー) プラダの姉妹ブランドなんだよね~( ̄ー+ ̄)
ビー) へぇ~~~。
カー) そうだね「ミウミウ」は・・(+・`ー’・)ドヤ
ビー) ん・・・?
カー) だから「ミウミウ」はレディース限定の、( ̄⊿ ̄)
ビー) ・・・・。