モコモコ博士の建物観察ゼミ
2012.12.05

第36回 「URBANPREM南青山」

今、30代の建築家が熱い。男女ともに若手の建築家の台頭が未来の表参道に活気を与えています。男性の代表格は「東急プラザ 表参道原宿」をやった38才の中村拓志、女性の旗手は36才(1975年生まれ)の永山祐子。代表作が表参道にあるので早速、見に行ってみました。


女性の大胆さがこれです。

URBANPREM南青山
樽を横に置いたような外壁です。

場所は港区南青山3-8-5、竣工したのは四年前の2008年12月。青山通りに面したビルの裏手にあって、鉄筋コンクリート造5階建ての商業ビルです。実に大胆なフォルムを持つ打ち放しコンクリートのビルですが、築4年を経過してることもあって、表面の撥水材が劣化し、雨だれの汚れがちらほら見え残念ではありました。


URBANPREM南青山
男はここまで大胆にはできません。
URBANPREM南青山
奥の東側立面です。

「コンクリート打ち放し」という外壁の仕上げは決して安価な仕上げではありません。構造体を露出させる仕上げで、日本特有だと言ってもいい仕上げです。タイルなどの仕上げで構造体を保護しない分、余計に(通常は30ミリ)コンクリートを打たなければならなりませんし、きれいな表面を実現するために特殊な型枠工事も要求されます。打ち放しはやりっ放しと違い、表面に撥水材を塗布する必要があります。コンクリートには防水性はないので、雨に濡れれば水分を吸収します。それを防がなければ建物内部が湿気ることとなり、居住性が下がります。撥水材の寿命は約5年とされ、数年ごとに塗布しなければなりません。それを怠れば外壁は汚れ、見にくい物となってしまいます。

URBANPREM南青山
見上げると何階建てなのか判りません。
URBANPREM南青山
上部の道路斜線制限を逃げた曲面を下部に繋げています。

『把握できないあいまいさ』を表現したとの永山祐子のですが、どんな建築理論であろうとも、建て主の建物へのメンテナンスの姿勢が重要でメンテを期待できない建て主であれば、またそれなりの建築理論が必要だと思ってしまうのです。




何でやっちゃう怖い物知らずを感じます。

URBANPREM南青山
この立面は女性ならです。

それにしても大胆なフォルムです。建物の正面に立つと何階建てなのか判りません。その曖昧さがおもしろいところではあります。単に道路斜線の制限をクリアするだけではなさそうです。こういう大胆さは女性特有なモノだと思いますね。実は、私は建築の基本設計は女性のほうが向いていると思っています。男女の差別ではなく区別として、女性の大胆な計画に何度となく驚かされてきました。デザインとか意匠とかの分野で革新的な美的センスを持つ女性は多いのです。服飾関係では言うに及ばず、ヘアメイクやお化粧など、男であってもホモぽいおネー系が多いのは合点が行くのです。
著名な建築家にハゲがいないのも、頭髪は女性ホルモンが影響しているからで、建築の設計にも女性的何かが大きく影響しているのだと思います。


URBANPREM南青山
1階店舗の入り口が見えます。

このビルの1、2階には店舗が入り上階はオフィースのようです。中にはいってみたいところではありましたが、気の弱い私は入れませんでした。なんか人を寄せ付けない閉塞感がただよっていますね。公共の外部空間と内部空間を繋ぐ曖昧な空間でもあればもっと入りやすいビルになったような気がします。大きく湾曲して立ち上がる壁に開いた窓は大小さまざまな幅を持ち興味深く、楽しげな感じを醸し好感が持てます。ランダムに開いた窓を持つインテリア空間も面白いのだろうと容易に想像できます。永山祐子は、建物だけでなくショップのインテリアなども手掛ける建築家で既にいくつかの作品を残しています。JCD(日本商環境設計家協会)デザイン賞などを受賞しています。

URBANPREM南青山
1階店舗の入り口です。
URBANPREM南青山
ビルに入る店舗の看板。

彼女の名を一挙に広めたのは、イギリスのAR Awards Highly Commended賞の受賞で、「ルイ・ヴィトン京都大丸店」での設計に対してのモノです。

かなり積極的なお人のようで、1998年 昭和女子大学生活科学部生活環境学科を卒業後、青木淳建築計画事務所に4年在籍し、2002年、永山祐子建築設計設立。現在は東京理科大学、京都精華大学、昭和女子大学などで非常勤講師を勤める方でもあります。


建築の設計は女性の仕事。

私も建築の設計を職業としたいと思っている女性の方、今からでも遅くはありません。一級建築士の受験資格を得られる大学は理工学部の建築学科だけではないのです。昭和女子大学生活科学部生活環境学科や日本女子大住居学科、各美大の建築を教える学科、等々、沢山あります。既に建築に関係ない大学を卒業している方は、三年次に編入の手があります。もっと簡単なのは、私が講師を勤める大学(愛知産業大学)の通信教育学部の建築科です。既に大学を卒業していれば三年次に編入で一般教養の単位の取得は必要ありません。仕事をしながら2年で卒業でき建築士の受験資格が得られます。

今年、私の事務所に入ってきた新人は、この愛産大・通信教育学部で卒業研究を私が担当した34才の女性です。優秀な人です。某国立大学を卒業後。色々仕事を変えながら、やっぱり建築がやりたいと仕事をしながら愛産大・通信教育学部に入学し、優秀な成績で卒業。私が引っ張って来ました。

建築の設計は女性に相応しい仕事だとおもいます。将来の永山祐子になるのはアナタかもしれません。


ビー) 女性の建築家が活躍してるってなんだか嬉しいね。
カー) うんうん、男性のイメージが強かったけどモコモコ博士の記事を読むとそのイメージが変わったよ。
ビー) ところで僕たちって性別はどっちなんだろうね?
カー) 私は女性ですわよ。
ビー) おほほほ、わたくしこそ女性ですわよ。
カー) あら?今の今までそんな口調でしたっけビーさん。
ビー) そういうカ―さんこそ何を今さらって感じ。
カー) あなたは「僕」って言ってましたよね?
ビー) 女性でも「僕」って使うことがあるわよ。
カー) うふふ、わたくしたちは「ビー君」「カーちゃん」で有名だったじゃない?
ビー) まぁ、懐かしい話ですこと。
カー) そういえばあの頃は何も考えずに突っ走ってたね。
ビー) そうね、、楽しかったわね~。
カー) ・・・・・・・・・・・・。
ビー) ・・・・・・・・・・・・。
カー) ビーちゃん!
ビー) カーちゃん!
カー) 私たちは二人とも女性よ!
ビー) これからも仲良くしましょうね!
カー) ・・・・・・・・・・・・。
ビー) さ、帰ろうか。
 
 
 

■参考サイト
・永山祐子建築設計
https://www.yukonagayama.co.jp/
・建築家・永山祐子が語る「瞬間の戸惑い」「あいまい」
https://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=002036
・中村拓志×永山祐子…気鋭の若手建築家が語る「仕事論」
https://next.rikunabi.com/01/closeup_1202/index.html

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