モコモコ博士の建物観察ゼミ
2012.12.27

第37回 「ワイズ スーパーポジション」

表参道の交差点から、根津美術館に向かう道々には注目すべきたてものが多く点在している。その中で、以前から気になっていた建物があって、今回チョット調べてみると、ビッグネームが出てきて驚いてしまった。早々にこのページに紹介しなくてはならないと思い、カメラ片手に出掛けていったのだが、外装のメンテナンスのためなのか足場が掛かりシートに覆われていた。

屋上に巨大なロールケーキが半分出てます。

ワイズ スーパーポジション
外装メンテナンス中でした。

外壁が見えなくとも紹介すべき建物に代わりはなく、ここにご紹介する。そのビルは南青山5-3-6にあって名前を「ワイズ スーパーポジション」と言う。白色に近いタイル貼りのファサードをもつシンプルな外観である。現在(2012、12月)は(株)ワイズを設立した山本耀司(やまもと ようじ)の店がはいっている商業ビルである。

 

ワイズ スーパーポジション
ヨックモックを過ぎて直ぐの所
URBANPREM南青山
足場の解体中でした

 

ビルの設計者は内田繁と多くのサイトのページにあったが確認はできていない。多分、インテリアだけなんじゃないかとも思うが、現在のインテリアは内田繁のモノでは無いと店の人に聞いた。と言うことは建物もインテリアも内田のモノではないのかも知れないが、内田繁という超有名なデザイナーについてここでご紹介したい。


インテリア・デザイナー・内田繁とは

1943 年の横浜生まれのインテリアデザイナーである。「インテリアデザイナー(英語:interior designer)とは、インテリアと呼ばれる建物内部やファサードなどの外部の装飾や空間構成、家具や照明器具、照明計画など住空間の一部ないし全体の室内演出・デザインや建物全体の構成などを手掛ける職業、またはこれを職業にしている人たちを意味する。 建物全体の構成や配置、家具の色彩的統一、壁紙の柄、設置場所などについての、より快適に暮らすための相談・コンサルティングも行う。建築の設計は建築士でなければ行うことができないが、インテリアデザイナーは建築設計の補助的な役割として、意匠設計の一部であるインテリアデザインを担当する。建築士との違いは建築基準法などの建築に関わるあらゆる法令で定められた基準を守りながら幅広く建築の設計を行うことができるのが建築士であるのに対し、各種法令に反しない範囲で建築の意匠に関する設計の補助を行うのがインテリアデザイナーである。よって、建築士の職能の一部を補助する役割としてインテリアデザイナーが位置づけられる。」(以上、ウィキペディアより引用)

ワイズ スーパーポジション
巨大なロールケーキの断面。
ワイズ スーパーポジション
外装工事中でも店はオープン。

 

インテリアデザイナーの肩書きを持つデザイナーには有能な人が多くいる。その中でもトップクラスの人が内田である。1966年に専門学校桑沢デザイン研究所を卒業し、2003年には客員教授となり、2008年には所長に就任している。その間、毎日デザイン賞をはじめ各種のでデザイン賞を獲得し、その実力を証明している。中でも「September (椅子) 」はメトロポリタン美術館に永久コレクションされているもので家具のデザインでも非凡な才能を見せている。(因みに「桑沢デザイン研究所」とは美術系の専門学校で有能なデザイナーを多く輩出している一目置かれている専門学校である。)

 

ワイズ スーパーポジション
このロールケーキに気付く人は少ない。
URBANPREM南青山
Yohji Yamamoto の看板サイン。

 

代表作としては山本耀司の一連ブティックがあり、その一つとして今回の「ワイズ スーパーポジション」があるのだが、どこまでが彼の仕事なのか明確でないのが残念ではある。近々には外装の改修も終わり、以前のようにスッキリとした外観を見る事ができるように思う。内部も山本耀司のブティック店舗で有り、何も躊躇することなく入って行ける。天井高が高く、竣工当初の内田繁のインテリアが見られないとは言え大胆な空間が1階と地下にあって山本耀司デザインの服を陳列するに相応しい空間だと思える。

 

ワイズ スーパーポジション
内田繁のインテリアではないがなかなか大胆。

私自身、著名なインテリアデザイナーと一緒にゴルフ場クラブハウスの設計・管理の仕事をした経験があるが、建築の設計・監理とは随分と違った現場での対応が有り、少々面食らってしまった。建築の常識的知識が欠落していると現場で数々の問題が発生し工程に支障をきたすし請負工事金額以上の仕事が発生したりする。特にインテリア事務所の若いスッタッフによる図面や監理においてなのだが、建築の実施設計図書を無視するようなインテリア図面であったり、現場での指示には閉口する。そんなこともあって、建築の設計者とインテリアデザイナーとの間には常に軋轢が生じ、概して不仲ではある。

インテリア・デザインに興味をお持ちの方も多いが、実際にインテリアの仕事を目指す方は、少なくとも建築士の資格は持っていて欲しい。1級でも2級でもいいのでそのくらいの建築的知識がないと現場に混乱が起こる。「この梁のこの部分を50ミリハツって(削り取って)下さい」などと平然と言われても、建築の意匠や構造の設計者、現場の施工業者は「バカ言ってんじゃねーよ」で、許可はできないのだ。許可されないと知ると、自分たちでハンマー持って勝手にハツってしまったりするので構造設計者の激怒を買うのだ。

内田繁や彼の率いる事務所のスタッフがどのような方々なのか、お付き合いがないので全く判らないが、これだけ著名な方なので、建築の設計者と上手く仕事ができるお方とは思う。今回、ご紹介した「ワイズ スーパーポジション」ビルは少なくとも竣工当初は内田繁が関わっていたビルで有り、それなりに大胆な空間を提案していることが判り、是非一度見に出掛けることをお薦めしたい。」

 

ビー) そいうえばもう2012年も終わりだね!
カー) そうだね、
ビー) カーはどんな一年だった?
カー) う~ん、ビーがいなかったら乗り越えられない一年だったな~
ビー) っ! 何それ!
カー) いや、ほら、ビーは本当に良きパートナーだな~と思って
ビー) 僕もカーとの思い出がいっぱいだよ!
カー) ビー!
ビー) カー!
カー) ・・・・・・・・・・・・。
ビー) ということで今年も一年どうもありがとうございました!
カー) モコモコ博士も今年一年ありがとうございました!
ビーカーズ) みんさん良いお年を~!!
 

 

 
 

■参考サイト
・内田デザイン研究所
http://www.uchida-design.jp
・September (椅子)
https://item.licht-gallery.com/?pid=145990663

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