モコモコ博士の建物観察ゼミ
2022.11.09

第3回 ジャイル

GYRE(ジャイル)表参道」誕生!

2007年11/2(金)朝11時にオープンしました。何かと話題になっているビルでもあり、野次馬根性丸出しで出かけました。実は、10時チョット過ぎに行ったら未だ開いてなくて、CHANEL のお店を覗いたら、開店は11時、みたいな看板が立ってまして出直しました。オープン前には、黒っぽいスーツ姿の関係者とおぼしきオジサマ方を遠巻きに、老若男女が列をなしてまして、安藤忠雄の「表参道ヒルズ」のオープン時の人の多さを見てますんで、驚きもせず余裕でした。

ジャイル

基本設計はオランダの建築事務所、MVRDVという若手建築家集団(と言ってもオジサン)です。アルファベットを並べただけの設計事務所の名前は欧米に多く、私・モコモコ博士が昔働いていたアメリカの設計事務所は PGAV と名乗っているところでした。MVRDV は事務所設立時のメンバーの、Winy Maas、Jacob van Rijs、Nathalie de Vries の3人の頭文字からとってます。オランダを代表する建築家集団で、私の印象ではキャンティ(方持ち梁)が好きな連中ですな。今回の「GYRE(ジャイル)」も建物の外観はキャンティを多用して凸凹してます。

ジャイル

このビルで特筆すべきは、日本のゼネコンの雄「竹中工務店」です。事業主、総合プロデュース、設計、施工、全て竹中工務店なんです。基本設計以外の実施設計や構造・設備設計を含めて、全ての設計は竹中工務店設計部の仕事です。デザイナーとしての「建築家」の仕事ではなく、技術屋集団としての「建築士」たちの仕事です。加えて、施主も竹中で、総合プロデュースまでしちゃってますから、無論、施工も竹中です。構造は鉄骨造で、地下2階、地上5階の建物です。

ジャイル

GYRE(ジャイル)とは、渦、回転するというコンセプトだそうで、「一層一層が回転したようにねじれており、それにより生じる空間にテラスを設け、豊かな環境を創出しています。それらテラスを繋ぐように設けられた外部階段を、外周を囲うように上っていくことも出来、渦、回転を体現しています」との竹中のコメントですが「そうかなー、後付じゃないの」と感じ取っちゃうのは私だけかしら。左隣には妹島和世がデザインした真っ白な矩形の Dior がありますが、かなり意識して黒っぽいデコボコを造ったような印象を持っちゃいましたね。建物としての、MVRDVの破天荒な冒険や隣の妹島 Dior のような新たな提案は感じなかったんだけど、使っている色が通常とは違っている事くらいですかね。それが成功したかどうかは、これからの表参道フリークたちの反応次第かな。

ジャイル

内装の基調色は白と黒で、ステンレスの鏡面仕上げを多用してるので空間の反射が映り込んで虚像があちこちにあって、

ジャイル
ジャイル

おっとっとなんてことがあったりして面白いといえば、面白いかな。建物中央にある大きな吹き抜けは、商業施設では珍しく「黒」の雰囲気でした。吹き抜けの天井と言うかガラス屋根のデザイン的処理がイマイチで、建物全体のデザイン的統一感を壊しちゃってるような気がする。因みに、内装デザインは商業店舗を多く手がけてきたエイジ(本社:東京都目黒区、代表:佐藤一郎)と言うところだそうです。

ジャイル

店舗展開のコンセプトは「コンシャス・ラグジュアリー」なんですって。常に意識の高いショッピングスタイルを楽しみ、より価格が高くても、賢く、節度のある“正しい”ものを選ぼうとする人、品質やトレンドは犠牲にしないという方々の為のショッピング・モールみたいですよ。太ったお財布にキャッシュカードを2,3枚入れてお出かけ下さいましな。入ってる主なお店は、CHANEL・シャネル、BVLGARI・ブルガリ、MoMA Design Store・モマ・デザインストア、OMOTESANDO UKAI-TEI・表参道うかい亭、Le Pre Verre・ル・プレヴェールなどです。

ジャイル

この新しいビルが、我が愛する表参道にコンシャス・ラグジュリーを発信し、東京の新しいカルチャーとして根付くかどうか、楽しみではあります。

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