モコモコ博士の建物観察ゼミ
2014.01.16

第39回「オーク表参道」

皆さんは、もう既に見に出かけちゃったかしら。2013年4月にオープンした「オーク表参道」。以前、モリハナエ・ビルが建っていたところに建て替えたビルですけど。もうそろそろ落ち着いてきたんじゃないかと、私、行って来ましたよ。ウチの事務所から歩いて5分ほどですからもっと早くに観に行くべきだったんでしょうけど、どうも、再開発された都市の商業施設に魅力を感じることができなくて、ついつい遅くなっちゃいました。

オーク表参道
以前のモリハナエ・ビルの外観を踏襲していますね。


久しぶりに気になる商業施設が表参道に登場しました。オーク表参道。

最近の東京は再開発ばかりで、六本木地区や東京駅・日本橋周辺、渋谷界隈と大きな商業施設が建設されてますでしょ。これからは渋谷の駅周辺も大々的に手が加わり随分と変わっちゃうんですからね。

ここ表参道も、表参道ヒルズに始まり、日本看護協会ビル、ジャイル、東急プラザ表参道原宿と大きな商業施設ビルが建て込んできて、今回の「オーク表参道」じゃないですか。正直、もういいって感じるのは私だけなのかしら。愛する表参道の街が、人気のブランド・ショップやレストランを呼び込んで集客の餌にしてお¥儲けしようとしてるだけで、こんなビルばかりになると街は死んじゃいますよ。

オーク表参道,COACH
街並みにも溶け込み、違和感はありません。
オーク表参道,COACH
信号手前からはネスプレッソとコーチのお店が見えます。

なんて思ってたんだけど、このビルは少々違いますね。大人のためのセレブでハイソな雰囲気を醸しています。商業ビルではあるけどお¥儲けのための商業主義的なところを全く感じさせない優雅さがあります。設計したのは大林組と丹下都市建築設計、杉本博司、豊久将三などの名前が連なっています。

オーク表参道
建物右側の外観はガラス板を縦横に使ったカーテンウォール。

COACH,オーク表参道
コーナー部分のディテールも手を抜いていない。
COACH,オーク表参道,COACH
店内は有名ブランド「COACH」の店。



金田中を手がけた希有な現代美術作家、杉本博司。

今回は、二階のカフェ・レストラン「茶酒・金田中(かねたなか)」を手がけた杉本博司と言う方に注目です。建築家でもインテリア・デザイナーでもない希有な現代美術作家です。写真家として世に出てきた人ではあるのですが「人間の記憶の古層」を表現してきた人で「個人の記憶、文明の記憶、人類全体の記憶、何であれ時間を遡って我々はどこから来たのか、どのようにして生まれたのか思い出したいのである」という氏のテーマに沿って、ニューヨークと東京を拠点に活動している方です。

茶酒・金田中(かねたなか),オーク表参道
2階「金田中」の店内を庭側より観る。


著書「苔のむすまで」(新潮社)の中に、「写真家だと思われているあなたが、なぜ神社を建てることになったのですか」、「写真家といっても水と空気、それと光を扱ってきました。建築も似たようなものです」との記述があります。「神はある特殊な場に宿ります。そのような場にはどくとくの比率があります。比率とは場のたたずまいのことです、と延べ「空間が適切であるとき、日本語では場をわきまえたと言います」とも書いてます。

彼独特の美意識を感じさせる一文でしたのでここに引用しました。「オーク表参道」のインテリア空間にも彼の建築感が生きています。特に、南側(建物の向かって左側)の「金田中」への1階からのアプローチ空間です。日本の古美術・古建築・古典文学への造詣が深い杉本博司による空間デザインで、そのアート空間は「究竟頂 (くっきょうちょう) 」と名付けられた古代の石室をイメージして、天井には、これが数理模型なのかな、と思わせる作品が地中を目指して取り付いています。因みに、杉本氏は、幾何学を三次元の模型にして視覚的に把握しやすくした数理模型を撮影していますね。

茶酒・金田中(かねたなか),オーク表参道
店内には2つの米ヒバのテーブル。
茶酒・金田中(かねたなか),オーク表参道
天井の「数理模型」彫刻が緊張感を与えている。

彼独特のアプローチ空間を感じながら階段を上ると和カフェ「茶洒金田中」があります。庭を含めた店舗の内装まで一体的なデザインとして氏が手がけている、らしいです。折角なのでお邪魔して抹茶付きの「純正 黒蜜あんみつ」を頂きましたが、結構なお値段の¥1,300ですが、決して高いとは感じませんね。落ち着ける店内で、静かに美味しく頂けます。内装は、極端に大きな開口から庭を見せて、壁は白を基調にした美しいインテリアです。米ヒバ無垢材を贅沢に使った2本の大型テーブルがあり、壁には氏の写真作品が一葉飾られています。


“大人”を感じる雰囲気に好感を持ちました。

このビルには、他にアルマーニの店やネスプレッソの店が入りますが、空間的に広びろと計画され大人の雰囲気を保っています。こう言う再開発であれば問題ないように感じさせるインテリアです。建築的な革新性などを排除した計画で、私は好感を持ちました。チェックのミニスカート履く女子高生には似合わないビルのような気がして、パンケーキのお店もなく、いいんじゃないでしょうか。

オーク表参道
2階、オーダーメイドジュエリーの店『ケイ・ウノ』。
ネスプレッソブティック,エンポリオ アルマーニ カフェ,オーク表参道
左がネスプレッソブティック、右がエンポリオ アルマーニ カフェ。

アルマーニ カフェ,オーク表参道
アルマーニのカフェ。私も食べた、お昼のランチは¥2500。
ネスプレッソブティック,オーク表参道
店内を観ていると無料のコーヒーのサービスがあります。


※ 編集部注:写真は2013年7月に撮影したものです。


ビー) 新年!
カー) あ・け・ま・し・て
ビー) おめでとう!
カー) ご・ざ・い・ま・す
ビー) いよいよ2014年の幕開けだね!
カー) ε-(´ω`○)ハァ-
ビー) ん・・・
カー) こうきたら、あれでしょう?
ビー) アレ?
カー) そう!アレ!!
ビー) ああ!「お・も・て・な・し〜
カー) ・・・ちがーう!
ビー) えええー!
ビーカー) 今年もよろしくお願いいたします (●´人`●)
 

 

 
 
参考になるリンク先
オーク表参道
杉本博司(Wikipedia)

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